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令和4年9月定例会(第13日) 本文
令和4年9月定例会(第13日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2022-09-13
    令和4年9月定例会(第13日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(井上 博隆君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。片岡誠二君。(拍手) *片岡議員質問 2 ◯二十二番(片岡 誠二君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団、中間市選出の片岡誠二でございます。今回は、横断歩道橋の今後の在り方についての質問をさせていただきます。  横断歩道橋は、主に交通量が多く、道路をまたいで架けられる橋で、車両と歩行者との交通事故防止渋滞緩和の観点から設置される交通安全施設です。我が国では、一九六〇年代の高度経済成長期に、モータリゼーションの進展とともに自動車の保有台数が急増し、これに伴い、交通事故の死者数が全国で一万人を超えたことで、交通戦争とも呼ばれた時代でもありました。こうした時代背景の中、交通弱者である歩行者を事故から守るために、歩行者と自動車、それぞれの交通を分離できる横断歩道橋の設置が普及してきた経緯がございます。このため、現在設置されている横断歩道橋の大部分は、昭和四十年代に建設されたものであるとお聞きしております。  実際に、福岡県が管理する横断歩道橋は、現在、約八十か所。このうち設置後四十年を経過している橋は、実に七割を超えているとのことであります。県が管理する横断歩道橋も老朽化が進んでいると思いますが、横断歩道橋の巡視や点検のルールはどのようになされているのか。また、その結果、改修しなければならない横断歩道橋は何か所あるのかお尋ねをいたします。  次に、横断歩道橋の設置は、近年、バリアフリーの精神や交通弱者優先の精神などの考え方も広まり、一部には緩やかなスロープやエレベーターが設置され、弱者の方々への配慮もなされている社会となっております。一方では、昨今の少子化によって児童数が減少したり、学校の統廃合で横断歩道橋のある道が通学路から外れたり、また高齢化による身体的、体力的な理由なども重なり、従来型の横断歩道橋の利用者は激減し、利用形態が変わってきたことで、歩道橋の老朽化を機に撤去する自治体も増加しております。  そこで、福岡県では、近年撤去された横断歩道橋は何橋あり、その撤去に至った主な原因は何であったのかお伺いをいたします。  私の地元中間市にも、四十年を超えて使われている横断歩道橋があります。やはり、時代の流れで利用者も減り、今後の必要性に疑問を感じている市民も少なからずおられます。県下には市町村が管理している横断歩道橋も数多くあり、同様な課題がある横断歩道橋も多いのではないかと思います。特に、財政基盤が弱い市町村では、改修や撤去等の費用も深刻な問題だと考えます。  そこで、このような市町村が管理する横断歩道橋の改修や撤去等に関して、市町村からの相談に、県としてどのような対応をされているのかお尋ねをいたします。  併せて、このように少子、高齢化や、都市や町のバリアフリー化への時代の流れとともに、横断歩道橋の在り方にも変化があると思います。これまで交通事故防止のために大きく貢献してきた横断歩道橋ではありますが、社会情勢周辺環境の変化、時代のニーズ、住民のニーズに合わせて、時には柔軟に見直していくことも必要かと考えております。  最後に、横断歩道橋の新設や撤去について、県としての今後の方針をどのように考えておられるのか、服部県知事にお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) 3 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、横断歩道橋の巡視、点検とその結果についてでございます。県が管理いたしております横断歩道橋につきましては、安全な利用環境を確認いたしますため、おおむね一か月から二か月に一回の頻度で徒歩による巡視を実施をしております。また、こうした日常の巡視に加えまして、部材の腐食やひび割れなどの状態の変化を把握し、構造物としての健全性を診断いたしますため、おおむね五年に一回の頻度で詳細な定期点検を実施しておるところでございます。県が管理いたしております八十橋の横断歩道橋のうち、過去十年間で実施いたしました定期点検において、塗装の補修や部材の補強などの対策が必要と診断されましたものは三十六橋ございました。この三十六橋のうち十九橋の対策は既に完了しておりまして、現在、十三橋の対策を実施中でございます。残る四橋につきましても、早期に対策を講じていく予定としております。  近年撤去いたしました横断歩道橋についてお尋ねがございました。過去十年間で県が撤去いたしました横断歩道橋は六橋ございます。撤去に至りました主な原因といたしましては、周辺施設の移転などに伴いまして利用者が減少いたしましたことや、地元自治体の意向、また当該横断歩道橋の老朽化などが挙げられます。  次に、横断歩道橋に関する市町村からの相談についてでございます。市町村が管理する道路に関しましては、日頃から様々な御相談を受けておりまして、横断歩道橋につきましても、これまでに改修や撤去等の工法や費用に関する御相談を受けております。県といたしましては、このような御相談に対し、市町村の意向を踏まえ、工事設計に関する技術的事項や国の補助事業の活用などについて助言を行っているところでございます。  次に、横断歩道橋の新設や撤去についての今後の方針についてお尋ねがございました。横断歩道橋は、これまで主として交通量が多く、交通安全対策上効果的な箇所に設置をいたしてきております。今後も必要な箇所につきましては、地元自治体の意向も踏まえ、利用者に配慮した横断歩道橋の新設を検討してまいります。一方で、昨今の少子、高齢化やバリアフリー化といった社会情勢の変化の中で、横断歩道橋へのニーズも変化してきております。このようなことから、既設の横断歩道橋の中で、設置時から周辺の状況が変化をし、利用者が減少しているものにつきましては、地元自治体の御意向や老朽化の状況なども踏まえながら、撤去も選択肢の一つとして検討を行ってまいります。 5 ◯副議長(井上 博隆君) 後藤香織君。(拍手)
    後藤議員質問 6 ◯九番(後藤 香織君)登壇 皆さん、おはようございます。民主県政クラブ県議団、早良区選出の後藤香織です。  まず初めに、女性の健康についてお聞きします。女性は、生涯を通じてホルモンバランスが大きく変動し、その影響で、男性よりも心と体に大きな変化が生じます。年代によって注意したい症状や病気も異なり、仕事、結婚、育児などのライフイベントも多岐にわたることから、各ライフステージの特徴に応じた健康づくりが必要となります。その上、政治の分野において男性が多くを占めてきたことから、女性の性と生殖に関する健康と権利、いわゆるセクシュアル・リプロダクティブヘルス・アンド・ライツに関する施策は、諸外国と比べても遅れている状況にあります。  その一例として、経口避妊薬、いわゆるピルは、避妊目的のみならず、PMS(月経前症候群)の症状の緩和にも有効とされています。一九七〇年代には、副作用が多い中用量ピルが既に医薬品として処方されていたものの、現在普及している副作用の少ない低用量ピルは、日本ではなかなか認可がされませんでした。一九九九年になってようやく認可されましたが、国連加盟国の中では最も遅く、低用量ピルが入手可能になってから実に三十四年もたっていました。その一方で、男性対象のバイアグラは、薬が市場に出回った一九九八年三月、アメリカで爆発的に人気を博しました。アメリカのみならず、日本でも死亡報告があったにもかかわらず、七月には承認申請が出され、僅か半年で認可がされました。この事態は、海外メディアからも、男性が支配する社会における女性軽視、日本は依然、男性による長老支配のままだと報じられるなど、国内外から大きく批判がされました。このように、女性特有のものと思われている症状や病気などへの支援は、社会でなかなか理解が得られていないのが現状です。  そこで、今回は、これらの中からいまだ支援が行き届いていない更年期障がいに関してお聞きをいたします。更年期は、女性で四十五歳から五十五歳頃、男性でおおむね四十歳以降を指し、特に男性にも更年期障がいに似た症状があることは十分に知られておらず、解明が進んでいない状況にあります。こういった現状から、厚生労働省は、今年初めて更年期障がいの意識調査を行いました。この調査によると、医療機関への受診により、実際に更年期障がいと診断された割合は、女性で四十代で三・六%、五十代で九・一%、男性では四十代で一・五%、五十代で一・七%となっています。日常生活への影響について、とてもある、かなりある、少しあるを合わせた割合は、女性は四十代で三三・九%、五十代で二七・一%。男性は四十代で三〇・六%、五十代で二五・一%と、男女ともに三割近くが日常生活に支障を来していることが分かりました。しかしながら、症状があったとしても、医療機関を受診していない方が約八割から九割を占めていました。また、同調査では、主な更年期症状の内容や程度、その対処法、医療機関を受診する目安などが、更年期に入る前に欲しかった情報として挙げられています。  そこで、更年期障がいに関する周知、啓発が不足しているのではないかと考えますが、これまで県ではどのような取組をしてきたのか、現状をお聞きします。その上で、今後のより一層の周知、啓発の取組について知事にお聞きをいたします。  連合東京の調査では、四十代以上の働く女性の約七割が更年期障がいと思われる症状を感じ、その二割近くが有給休暇を取って対応したとのことです。また、NHKの更年期と仕事に関する調査二〇二一によると、四十代と五十代で更年期の不調が見られる男女およそ五千三百人のうち、症状が原因で仕事を辞めた人は、女性が九%、男性が七%で、これを基に更年期離職を経験した人の数を推計すると、今の四十代、五十代で女性がおよそ四十六万人、男性がおよそ十一万人に上るとも試算されています。更年期障がいを理由とした休みが取りやすい制度づくりが必要だと考えます。  そこで二点目に、県職員において、更年期障がいのため休暇を取ることはできるのでしょうか、その現状を伺います。また、職員が取得しやすくなるよう、生理休暇不妊治療のための休暇のような休暇制度を創設してはどうかと思いますが、知事の見解をお尋ねいたします。  次に、森林の無断伐採対策について知事にお聞きします。日本は国土の約三分の二が森林であり、農林水産統計によると、本県の県内における二〇二〇年の林業産出額は全国第七位を誇っています。近年は、ウッドショックによる木材価格の高騰、木材需要の高まりにより、森林の伐採が増加する中、伐採業者活動エリアは県境を越えて広域化しています。このような中、境界の確認不足等による無断伐採、森林法に規定する伐採及び伐採後の造林の届出等の制度の認識不足などによる無届け伐採といった事案が全国でも増加傾向にあります。被害届が出される事案も起きており、国も、森林窃盗無断伐採事案発生未然防止対策の強化について、都道府県に依頼をしているところです。  ここで、森林犯罪とは、森林法の百九十七条から二百十三条に規定されている森林窃盗、窃盗の贓物に関するもの、森林失火森林放火がそれに当たり、三年以下の懲役または三十万円以下の罰金などの刑となっています。伐採届を出さずに伐採する無届け伐採は、行政罰で百万円以下の罰金となっています。森林窃盗罪の成立には、わざと、故意にの証明が必要であり、間違ってうっかり切ってしまった誤伐は窃盗には該当しません。林野庁では、二〇一八年から毎年、民有林の無断伐採に係る都道府県調査を実施しており、二〇一九年では、全国で九十五件、そのうち九州・沖縄は最も多い四十三件でしたが、有罪判決は僅か五件となっています。  こういった特性から、一部の悪徳業者は、立ち木を切って盗む盗伐が目的であったとしても無届け伐採、伐採届を出していても、その範囲の境界線を越えての伐採や違う場所を伐採してしまった、つまり間違って切ってしまったとすれば犯罪にならないということは、私は非常に大きな問題ではないかと思っています。国では、この対策として、本年四月に伐採届の改正を行いました。こういった改正の趣旨も踏まえ、森林窃盗無断伐採を未然に防止する取組が最も重要だと考えます。  そこで、県では、無断伐採を防ぐ対策として、現在どのように取り組んでいるのか、またそれらの取組によって、本県の無断伐採の現状はどのようになっているのか、併せてお答えください。  そもそも森林は、広くて音が外に聞こえにくく、出入り自由という開放性や、境界が不明瞭で占有が曖昧であるといった特性から、犯罪が起きやすいと言われています。全国で約三割を占める所有者不明森林や、所有者の意欲低下、所有者が県外にいるなどで管理が放棄されている森林では、無断伐採が行われたことさえも気づきにくくなります。  九州の多くの人工林が利用に適した時期を迎え、森林の無断伐採の被害が広がる中、特に被害の大きい宮崎県では、二〇一七年、二〇一九年に県内自治体関係団体と協定を結び、情報提供伐採パトロール無断伐採木材流通停止などの無断伐採未然防止策を行っています。その上、さらに連携を深め、監視を強化する目的で、今年の三月に宮崎県と熊本、大分、鹿児島の南九州四県は、立件されるなどした悪質な業者をリスト化し、情報提供する取組を全国に先駆け始めました。九州の他県がこういった取組強化を始めた中で、本県の管理体制に不備があれば、いつ本県の森林に県境を越えて、盗伐目的無断伐採が増加してもおかしくない状況だと危惧をしています。  そこで二点目に、無断伐採は県境を越えて起こる可能性もあることから、近隣県との連携や無断伐採監視対策の強化が必要だと考えますが、今後どのように対応していくおつもりか、知事のお考えをお聞かせください。  無断伐採をされた現場では、他人の山を勝手に切って木材を盗むため、伐採も乱暴で、山を荒らし、土砂崩れなどを引き起こすことも懸念されています。森林は、一度土壌が削られると、再び森に戻すのに長い年月がかかるため、悪質な環境破壊行為とも言わざるを得ません。日本だけでなく、世界でも盗伐問題は深刻です。世界的にも、合法性や持続可能性に価値を求めるESG投資が増えています。こういった見えない価値を重視し、行政が応援していく姿勢が大切だと考えます。無断伐採が深刻な社会問題であることを発信し、阻止するためにも、知事の真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 7 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  更年期障がいに関する周知、啓発についてお尋ねがございました。更年期障がいとは、四十歳を過ぎた頃から表れる様々な体調の不良や情緒不安定などの更年期症状により、生活に支障を来す状態でございます。ほとんどの場合、治療によって症状が改善すると言われておりますが、初期症状がだるいとか、あるいは寝つけないなどの曖昧なものでありますことから、発症に気づかず、医療機関を受診しないことで症状が悪化する場合がございます。県では、これまで保健所におきまして、更年期の症状やその対処法などにつきまして理解を深めるための講演会を開催いたしますとともに、電話や面接による相談支援を実施してまいったところでございます。国が今年、更年期症状・障害に関する意識調査を実施いたしました結果、症状のある方の約八割が受診していないということが分かりました。このため、今後は、これまでの取組に加えまして、県のホームページへの掲載や啓発物の配布などを通じ、更年期症状の内容や受診の目安、相談窓口などの情報を県民の皆様に周知し、早い段階から受診につながるよう取り組んでまいります。  県職員の更年期障がいのための休暇についてでございます。県では、職員が更年期障がいのために休養を必要とする場合、最大九十日まで取得できます有給の病気休暇の制度を活用することができます。頭痛や動悸といった更年期に表れる症状でありましても、他の病気を理由に病気休暇を取得している可能性もございますが、更年期障がいを理由とした病気休暇取得状況を見てみますと、令和元年度から三年度までの平均では、取得人数は年間で二・三人、一人当たりの年間の取得日数は約十日となっております。こうした本県の現状に加えまして、国や他の都道府県においても、病気休暇により対応をしているということを踏まえますと、現在の病気休暇制度の枠内で一定対応できているものと考えております。  次に、森林の無断伐採防止対策の状況についてお尋ねがございました。森林法では、保安林において伐採を行う場合は、伐採とその後の造林計画について、県への許可申請が義務づけられております。それ以外の民有林につきましては、市町村への事前の届出が義務づけられておりましたが、今年四月の法改正により、伐採後の報告なども義務づけられましたことで、誤って伐採したと偽る窃盗目的の伐採の抑止が図られております。こうした森林法の規定に加え、保安林については県がパトロールを行っておりまして、近年、無断伐採の事案は発生いたしておりません。それ以外の民有林につきましては市町村がパトロールを行っておりまして、無断伐採の件数は、一昨年度は三件、昨年度はゼロ件となっております。これらパトロールに加え、県では、無断伐採を早期に発見できるよう、市町村が地図上で届出の有無を確認できるシステムを昨年度から運用を始めておるところでございます。また、今後、県のホームページやパンフレットによりまして、今回の法改正の内容も併せて、森林所有者等に制度の周知を図ってまいります。県といたしましては、こうした取組により、無断伐採の防止と早期発見に努めてまいります。  県境を越えた無断伐採監視対策についてでございます。県では、これまで他県から県境を越えて無断伐採をされた事案は確認されておりませんが、九州南部ではこのような事案が発生しておりますことから、九州各県と無断伐採の事案や対策について定期的に情報共有を行っております。その上で、県では、市町村や森林組合から提供される他県の事業者の伐採情報を基に、伐採計画が遵守されているか確認を行い、必要に応じて指導を行っているところでございます。また、国は、伐採された場所が衛星画像で確認できるシステムを開発をいたしまして、今年六月から、その運用を開始いたしております。これにより、所有者不明森林などの無断伐採の抑止と効果的な取締りが可能となりますことから、県では、伐採が本格化いたします十月以降、定期的に県内の伐採状況をこのシステムをもって確認し、その情報を市町村とも共有することで、県境を越えた無断伐採早期発見につなげることといたしております。県といたしましては、こうした取組を通じ、九州各県との連携を図りながら監視を強化してまいります。 9 ◯副議長(井上 博隆君) 椛島徳博君。(拍手) *椛島議員質問 10 ◯三十番(椛島 徳博君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会福岡県議団椛島徳博です。通告に従いまして一般質問を行います。  新型コロナウイルスの感染拡大は、第七波のピークを越えましたが、いまだ予断を許さない状況であります。これまでの間、様々な分野に直接あるいは間接的な影響が続いており、大変厳しい現実があります。経済的な問題だけではなく、社会全体に鬱積するものがあります。とりわけ、裾野の広い観光関連事業者の皆さんからは悲痛な声が聞こえてきます。また、コロナウイルスの流行は、大河ドラマ招致運動、特に機運醸成の取組にも影響がありました。今回は、戦国時代ヒーロー立花宗茂に再度スポットを当て、社会全体に活気を取り戻したいとの願いを込めまして、立花宗茂とギン(もんがまえに言)千代NHK大河ドラマ招致活動観光振興について質問をさせていただきます。  まず、大河ドラマ招致活動の取組についてであります。御存じのとおり、宗茂は、加藤清正、本多忠勝、島津義弘、黒田官兵衛など、戦国時代を代表する豪傑から義を尊ぶ武将として愛されました。また、天下人豊臣秀吉からは、東の本多忠勝、西の立花宗茂、東西無双とたたえられました。天下分け目の関ケ原の戦いでは、西軍につき領地を没収されますが、敵将徳川家康からの評価はもとより高いものがありました。加えて、宗茂の生きざまや武将としての器は二代将軍徳川秀忠にも認められ、奇跡的に旧領に復活を果たした人物であります。  二〇一七年四月、柳川の金子市長は定例記者会見で、立花宗茂とその妻ギン千代を主人公に、大河ドラマ招致活動をスタートすることを発表しました。このことを受けまして、同年六月議会の一般質問で、大河ドラマ招致活動について取り上げ、本県の支援をお願いしたところであります。その後、八月に柳川市が招致委員会を設立、十月には福岡県、そしてゆかりの深い自治体や多くの企業、団体にも参画していただき、「立花宗茂とギン千代」NHK大河ドラマ招致委員会が設立され、本格的に活動をスタートいたしました。NHK福岡放送局及び本社への働きかけなどをはじめ、歴史家加来耕三先生ラジオ番組放送各種イベント開催など、精力的に招致活動に取り組んでこられました。  この勢いに乗って活動に弾みがつくはずだったのが、二〇二〇年の東京オリンピック大会の年です。この年は、宗茂公旧領復活から四百年の節目の年でした。ところが、御案内のとおり、新型コロナウイルス世界的流行によって、移動の制限や多くの制約の中、社会全体の活気がなくなってきたことで、招致委員会の活動に水を差された形となってしまいました。しかしながら、そのような中でも、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えて、本県の担当部局と招致委員会は、連携を図りながら招致活動に取り組んできたと聞いております。  そこで、改めてお尋ねします。コロナ禍の中、県は、これまでどのような取組をしてきたのか、具体的な内容についてお答えください。その上で、この困難な時代であるからこそ、挫折を乗り越えてきた希代の名将立花宗茂を大いにアピールするチャンスと捉え、取り組むべきと考えますが、今後の取組と知事の意気込みをお尋ねします。  次に、大河ドラマ招致活動への観光振興の観点からの支援についてであります。今議会、我が会派の代表質問において、国内最大級の観光キャンペーンであるJRデスティネーションキャンペーンについてお尋ねしたところ、知事からは、令和六年四月のキャンペーン開始に向け、大分県と一体となって、県境のない観光を実現していくとの答弁がございました。今回の事業は、大分県との共同開催であることから、両県の交流が深まることにも大いに期待をしているところであります。大分県は、戦国武将大友宗麟、そしてその家臣である宗茂の父でもある高橋紹運と、ギン千代の父戸次道雪の本拠地であります。宗茂の父高橋紹運は、太宰府市にある岩屋城で最期を迎えます。また、ギン千代の父戸次道雪は、現在の久留米市北野天満宮辺りで陣没しています。このように、壮絶な戦国時代、太平の世を願いつつ、この二人が戦陣に散った本県と大分県との関係は切っても切れない歴史があります。  ところで、大分県では、平成二十三年に設立された大友宗麟顕彰会、この顕彰会を中心に、大友公を主人公に大河ドラマ招致活動が精力的に行われていると聞き及んでいます。ということは、本県の招致委員会と競合するライバル関係となるわけです。一面困ったことですが、お互い切磋琢磨の関係を尊重しながらも、本県は本県として招致活動はしっかりと進めていかなければなりません。  そこで知事にお尋ねします。JRデスティネーションキャンペーンは、両県が全国に向けて連携を深めながら取り組む大規模な観光キャンペーンであります。本県としては、県内の観光資源を全国に発信する好機です。また、宗茂、ギン千代を全国の人に知ってもらい、大河ドラマ招致活動の盛り上げにつながるチャンスでもあります。ここは、大分県に負けないくらい気合を入れて、宗茂、ギン千代のことも大いにPRすべきと考えますが、知事の所見と意気込みをお尋ねをいたしまして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 11 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 12 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  コロナ禍の中での立花宗茂とギン(もんがまえに言)千代NHK大河ドラマ招致活動についてお尋ねがございました。この間、多くの人を集めたイベントの開催やNHKへの要望活動は実施することができませんでした。しかし、そのような中でも、多くの方々に宗茂、ギン千代を知っていただくために、その生涯を紹介する動画をふくおかインターネットテレビで配信をいたしました。また、緊急事態宣言下の昨年二月には、私も当時知事職務代理者でございましたが、出席をいたしました宗茂公柳川復帰四百年記念イベントは、無観客に切り替えての開催となったところでございますが、ユーチューブのライブ配信では千八百人を超える方々に視聴いただいたところでございます。さらに、特に若い世代の方にも知っていただきますように、俳優の井桁弘恵さんを起用し、宗茂、ギン千代の謎に迫ると題した番組や、ゆかりの地を巡るオンラインツアーなどを制作いたしました。これらの番組は、ユーチューブで約十万回再生され、一定の効果があったものと考えております。そのほか県内ゆかりの地を一体となってPRするためのパンフレットを作成し、市町や県の公共施設へ配布をいたしました。また、子供たちに関心を持ってもらいますため、アニメ風キャラクターや漫画を取り入れましたパンフレットも作成をし、県内ゆかりの市町の小学五、六年生、約二万四千人に配布いたしますとともに、県ウェブサイトにも掲載いたしました。非常に好評だと伺っております。  先月、柳川市において、三年ぶりに開催されました招致委員会総会には、私も顧問として出席をし、県内ゆかりの自治体の首長、県議の皆様、経済界や招致活動を行っている団体の皆様お一人お一人の熱い思いを聞かせていただき、招致に対する思いを新たに、そして強くしたところでございます。今後も柳川市や関係者の皆さんと連携し、NHK本社及び福岡放送局への働きかけを行ってまいりますとともに、市町のお祭りをはじめ、各種イベントでのPRを通じまして、認知度を向上させ、招致の機運が広がるよう活動をさらに盛り上げていきたいと思っております。  JRデスティネーションキャンペーンでの立花宗茂とギン千代のPRについてでございます。福岡・大分デスティネーションキャンペーンは、両県がJRグループ六社及び観光関連事業者と連携して実施いたします国内最大規模の観光キャンペーンでございます。このキャンペーンで立花宗茂とギン千代をPRいたしますことは、二人の知名度を向上し、NHK大河ドラマの招致に向けた機運の盛り上げにつながる絶好の機会であると考えております。このため、キャンペーンの中で、柳川藩主の別邸でございました名勝立花氏庭園や、宗茂、ギン千代をお祭りいたします三柱神社、宗茂、ギン千代の居城がございました立花山など、立花宗茂とギン千代にゆかりのある地につきまして、二人のエピソードとともにPRをし、全国的な知名度の向上を図ってまいります。 13 ◯副議長(井上 博隆君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後零時五十分といたします。           午 前 十一時 四十一分  休 憩           午 後 零 時 五十一分  再 開 14 ◯議長(桐明 和久君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 15 ◯三十三番(西尾 耕治君)登壇 皆様、こんにちは。公明党の西尾でございます。それでは、通告に従いまして、本県の農業政策について質問いたします。  我が国の食料自給率は、農林水産省の発表によると、二〇二一年度の実績はカロリーベースで三八%となっています。コロナ禍の影響で低迷していた外食需要が若干回復して、消費量が持ち直したことから、これまで過去最低であった二〇年度より一ポイント上昇しております。しかしながら、一九六五年度には七三%に上っていた食料自給率は年々下がっていき、直近のこの十二年間では四〇%を割り込む状態が続いており、依然として低い状況であることには変わらないようです。また、国内の農業を支えている人たちの高齢化や担い手の減少、耕作放棄地の増加などの諸問題が山積みされています。  こうした中、近年のロシア軍によるウクライナ侵攻や、コロナ禍による貿易の停滞、さらには円安などから、輸入農産物やその輸送に必要な燃油の価格が高騰し、食料の多くを海外からの輸入に頼っている我が国のリスクの存在が浮き彫りになり、食料自給率の向上の必要性が大変に重要になってきております。このことを背景に、国民の食料自給率や食料安全保障に対する関心が高まりを見せており、輸入の割合が多い小麦や大豆については、国産を使った商品開発や国産原料への切替えといった取組が増加しつつあると聞いています。  しかし、今後、国内の需要の増大が見込まれていると言われている麦や大豆については、天候の影響により品質や収量の年次変動が大きく、生産安定が課題となっているといいます。一方、自給率が高い米については、人口減少により主食用米の需要が年々減少する中で、古くから米菓や和菓子などに使われてきた米粉が、パンやケーキ、麺類といった新たな用途への利用も広がりを見せており、今後、小麦の代替として新たな用途に使用できる米粉の需要拡大を図ることは重要と考えます。また、畜産においては、必要な配合飼料の約八〇%を外国のもので賄っており、米の飼料への利用も必要と思われます。  そこで知事にお伺いいたします。麦、大豆の主産県である本県では、品質や生産性向上に向け、どのような取組を行っているのか。また、米については、米粉の利用拡大や飼料への活用についてどのように取り組んでいるのか、併せてお聞かせ願います。  次に、農水産物の輸出について伺います。国では、今年度の予算において、当初の予算に上積みして海外での販路開拓を支援するなど、国策として輸出拡大の政策の取組を加速させていました。農水省の発表では、二〇二二年上半期の農林水産物、食品の輸出額は、前年同期比で一三・一%増の六千五百二十五億円となり、上半期としては二年連続で過去最高を更新しています。要因として、ヨーロッパやアメリカでの外食需要の回復、小売店やインターネット販売向けの商品が堅調に推移したことが挙げられます。品目別では、ホタテガイやブリが六割以上も伸び、日本酒は三三・七%増で、このほかの品目についても幅広い品目で過去最高となっています。  本年の四月から、政府は、海外の主たる輸出先に輸出支援プラットフォームを設置することを始めました。これは、販路の開拓や輸出先のニーズの把握、関連情報を集めることで輸出事業者に対して支援していくもので、既にアメリカやタイに設置されています。また、直近の通常国会では、農産物の販路拡大をさらに促すための改正輸出促進法が成立しています。これは、品目ごとに生産者や輸出事業者らで組織する産地横断の団体をつくり、国が認定する仕組みを創設し、一体的な活動をサポートするなど、市場開拓を進めながら輸出拡大を図るというものです。ニューヨークでは、日本産の米の魅力を伝えるイベントが開催されたり、州法の改正により、日本産の焼酎の販売が容易になったり、さらにはインドネシアにおいて、東京電力福島第一原発事故から続けられていた一部の日本産食品の輸入規制を全て撤廃したとの表明など、日本産の農産物、食品の輸出については大変によい方向に向かっていると言えます。  現在、あまおうについては、生産者、関係する皆さんのおかげでブランド化が確立し、海外でも人気のブランドイチゴとして認知され、とてもよい形になっていると認識しています。また、本県にも博多和牛などのすばらしい畜産物が存在しますが、現在、海外では日本の畜産物に注目が集まっているとも聞きます。こうした海外の動きを捉え、本県が誇るおいしい農林水産物の輸出をさらに拡大させていくべきと考えます。  そこで伺います。本県の農林水産物の輸出の状況及び輸出拡大に向けた今後の取組についてお聞かせください。  次に、本県の環境に優しい農業について伺います。国では、環境に優しい農業を目指す観点から、農業による食料の生産から流通、加工、消費、廃棄に至るまでの一連の流れを包括的に捉える一つの考え方として重視されている食料システムについて、その各段階における環境の負荷を低減していくとともに、深刻な温暖化の原因となるCO2 (二酸化炭素)などの温室効果ガス排出量の削減を目指すみどりの食料システム法が、先々月の七月一日に施行されました。日本は、海外の国に比べ、化学肥料の使用量が多い国と言われており、世界銀行の調査では、耕地面積一ヘクタール当たり、化学肥料の使用量が一八年度の数値で世界各国の平均が百三十六・八キログラムに対して、我が国は二百五十三・七キログラムとほぼ倍近い数値が示されています。このような状況にあることから、化学肥料を減らす取組やCO2 削減を進めていく国の目標が示され、そうした取組を行う農林漁業者の設備投資などを課税特例等で支援するということになっております。  そこで伺います。国が進める環境に優しい農業の取組を拡大していくために、今後、どのように取り組んでいくのか、本県における環境に優しい農業の取組の状況と併せ、お答え願います。  最後の質問として、農水省が進めている農泊についてお尋ねします。農山漁村に泊まって、現地の食事や様々な体験を楽しむ農泊を進めるため、国は、県内の関係者が連携したプロモーション活動を行う都道府県ごとのネットワークづくりを呼びかけているとのことです。私は、この取組は誘客の効果を高めるとともに、宿泊することにより滞在時間を延ばし、農山漁村地域の活性化と所得向上などを図ることができる効果的な手法と考えております。  そこで伺います。本県における農泊の現状とその取組についてお聞かせください。  知事及び執行部におかれましては、県民の食の安全につながる重要な農業政策が効果的に進められることを強く望み、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 16 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  麦、大豆等の振興についてでございます。昨今の輸入穀物等の価格高騰に鑑みまして、輸入に依存している麦、大豆等につきまして、できる限り県内での生産を拡大していくことが必要であると考えております。このため県では、麦や大豆の生産性と品質を向上させますため、農地の団地化や圃場の排水性を高める暗渠排水の整備を進めますとともに、土壌診断に基づく施肥技術やロボットトラクターといったスマート農業機械の導入を支援しているところでございます。加えまして、大豆につきましては、現行品種より収量が一割ほど多い、本県育成の新品種、ちくしB5号への転換を進めているところでございます。米につきましては、主食用米の消費量が減少しておりますことを踏まえ、輸入小麦や輸入家畜飼料の代替として期待でき、水田の維持、活用にもつながる米粉用米や飼料用米の利用拡大を進めることが重要でございます。このため県では、県産米粉を使用した新商品の開発、販売拡大の取組を支援しますとともに、今議会におきまして、配合飼料原料の自給率向上に向け、飼料用米の加工に必要な機械の導入を支援するための予算を御提案しているところでございます。  次に、本県の農林水産物の輸出状況についてお尋ねがございました。本県の主な輸出品目は、あまおう、日本酒、八女茶、柿、博多和牛などでございまして、その輸出先は、香港、中国、米国などとなっております。昨年度の輸出額は、巣籠もり消費の拡大や、その後の外食需要の回復によりまして、香港向けあまおうや中国、米国向け日本酒などが大きく伸び、四十七億円と過去最高を更新いたしました。  次に、輸出拡大に向けた今後の取組についてでございますが、県では、これまで現地量販店での販売促進フェアの開催、ウェブ商談会の実施、インフルエンサーを活用した魅力発信などを行ってきたところでございます。今年度は、これらに加えまして、日本酒の消費が増加しております中国や香港におきまして、県内の酒蔵の海外展示会への出展や国際間ネット通販サイトへの出品などを支援いたしております。また、米国におきましては、健康志向の高まりにより、緑茶の需要が伸びております。このため、ニューヨークをターゲットとして、八女茶の輸出を増やしてまいります。具体的には、輸出に必要な残留農薬分析費用への支援に加えまして、現地の茶専門店での販売促進フェアや、高級レストランにおける八女茶とのペアリング試食会などを実施することといたしております。県といたしましては、こうした取組を通じ、本県農林水産物のより一層の輸出拡大を図ってまいります。  次に、環境に配慮した農業の取組についてでございます。県では、これまで有機質肥料の最適な施用時期、効果の高い防虫ネットの選定などの指導を行い、環境保全型農業を推進してまいりました。また、国の環境保全型農業直接支払交付金を活用いたしまして、農薬や化学肥料の低減といった、環境負荷低減に効果が高い農業生産活動を行う農業者を支援してまいりました。こうした取組の結果、農薬、化学肥料を使わない有機農業は、昨年度、お米やお茶を中心といたしまして、県内約百ヘクタール、農薬と化学肥料の使用量を県の基準の五割以下に減らす栽培は、約二千ヘクタールとなっているところでございます。一方、SDGsや環境を重視する国内外の動きが加速いたします中、国は、農薬や化学肥料の低減、有機農業の拡大など、環境と調和の取れた農林水産業による食料確保を目的といたしますみどりの食料システム戦略を公表し、今年七月には、これを実践するための法律も施行されたところでございます。県といたしましては、市町村や関係機関と連携し、化学肥料の低減といったワンヘルスの実践を通じて、この法律が目指す環境に配慮した農業を進めてまいります。  農泊の現状と取組についてでございます。県では、この農泊を推進いたしますため、宿泊施設と市町村、観光協会などで構成いたします協議会に対し、地域の景観や文化を生かした体験モデルコースの設定などを支援してきたところでございます。また、豊かな自然に囲まれた地域のすばらしさや農業体験の楽しさのPRに加え、農作業や料理など体験メニューの充実に向けた実践的な研修会なども開催してまいりました。こういった取組の結果、現在、協議会の数は二十六まで増加をいたしまして、このうち朝倉地域では、修学旅行生などの受入れを進め、コロナ禍前の令和元年度には七百四十名が農泊を体験しております。しかし、県内で最も受入れが進んでいる朝倉地域におきましても、宿泊施設などの制約によって希望する全ての団体に対応できないということから、より多くの受入れができますよう、複数の地域が連携した体制づくりが必要となっているところでございます。このため県では、各地域協議会の代表者の方を集めた県域の会議を開催し、地域を越えて受入れ施設の確保や体験メニューの提供ができますような体制整備に向けて、受入れ窓口の一本化などを進めているところでございます。県といたしましては、こうした取組によりまして、農山漁村地域の活性化につながります農泊を推進してまいります。 18 ◯議長(桐明 和久君) 浦伊三夫君。(拍手) *浦議員質問 19 ◯二十一番(浦 伊三夫君)登壇 自民党県議団の浦伊三夫でございます。通告に従いまして、スポーツを通じた国際交流の推進について質問をさせていただきます。  ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会からはや三年、来年二〇二三年秋にはフランス大会が開催されます。ラグビーによる熱狂がコロナを乗り越え、再び世界を、日本をワンチームにする、今から大変楽しみにしているところであります。  ラグビー日本代表、通称ジャパンの大活躍により、大変な盛り上がりを見せた二〇一九年日本大会では、ここ福岡でも三試合が開催され、それに加えて福岡県が主催したパブリックビューイングも行われ、各会場入場制限を行うほどラグビーファンが押し寄せていました。ラグビーワールドカップ日本大会がもたらした影響は大きく、私の地元糸島市を中心に活動しています伊都ヤングラガーズ、通称伊都ヤンという小中学生のラグビーチームがありますが、二〇一九年のワールドカップ前は七十人ほどだったのですが、現在は約百四十人と倍増をしております。他のクラブチームも同様に、二〇一九年のワールドカップを契機に部員が増えているそうであります。このことでも分かるように、近年、ラグビー人口は増加しておりますので、本県ラグビーの振興はもとより、今後の日本ラグビーにおいても大いに期待をしているところであります。  本県では、この大会のレガシー継承のための取組として、アジアラグビー交流フェスタの第一回大会を平成三十年に、第二回大会を令和元年に開催をしました。第二回大会においては、アジアから八チーム約百二十人、国内からは八チーム約百三十人の中学生ラグビーチームが宗像市のグローバルアリーナに集い、交流試合のほか、トップレベルの選手によるラグビークリニック、地元中学校を訪問しての日本文化体験など、ラグビーを通じた大変有意義な国際交流が行われたと聞いております。しかし、その後、新型コロナの影響により、令和二、三年度は、残念ながら二年続けて中止となっております。  コロナの影響はそれだけではなく、本県福岡市をホームとするコカ・コーラレッドスパークスが二〇二一年末で活動を終了し、本県宗像市をホームとする宗像サニックスブルースも二〇二二年五月末をもって活動を休止するなど、九州ラグビー界にとって大変ショッキングな報道が相次ぎました。大変残念ではありますが、日本最高峰のラグビーリーグ、ジャパンラグビーリーグワンに九州で唯一参戦している九州電力キューデンヴォルテクスには、九州の雄として頑張っていただきたいというふうに思っております。  今年度、コロナによる海外渡航の制限は世界各国において緩和され、民間レベルでのスポーツ交流も再開されつつあります。令和四年度、アジアラグビー交流フェスタは、その交流の範囲をオセアニア地区まで広げ、実施する計画であると聞いております。  そこで知事にお伺いいたします。令和四年度において、なぜこの大会をオセアニア地域まで拡大するということにしたのか。また、大会の準備状況についてもお伺いいたします。  ぜひ、子供たちが夢を持てるような、そしてラグビーの振興を図れるような大会にしていただきたいというふうに思っております。  次に、ニューサウスウェールズ州とのスポーツ交流についてお伺いをいたします。ニューサウスウェールズ州との交流については、今年三月の一般質問において、我が会派で国際交流推進議員連盟会長の樋口明議員が知事に対して今後の交流推進についてただしたところ、知事は、スポーツ、観光、教育の分野での交流の可能性に言及されました。執行部において今後の交流について検討されているようでありますが、私は、まずスポーツ分野において交流を進め、全体を牽引してもらいたいというふうに思います。  二〇二三年には、世界水泳選手権、ツール・ド・九州という世界的スポーツイベントが福岡県で開催されます。ニューサウスウェールズ州は、水泳のイアン・ソープというレジェンドを生み出した場所でもあり、水泳はもちろん、自転車ロードレースも大変盛んな地域でもあります。多くのニューサウスウェールズ州の水泳、ロードレースファンに、来年、本県で開催される二つの大会を見に来てもらい、そして福岡の魅力を知って、ファンになって帰ってもらう。十分、交流のきっかけになるのではないでしょうか。  このほか、福岡県にはソフトバンクホークスをはじめ、サッカー、バスケットボール、ラグビーといった多くのプロスポーツ競技が本拠地を構えるなど、他県にも劣らない、多くの魅力的なスポーツコンテンツが存在します。これらコンテンツを活用し、スポーツの力で両地域の交流を進め、人的交流が活性化されれば、これをきっかけに、観光、教育、ビジネスなど他分野への波及が期待できるのではないでしょうか。  そこで知事にお伺いします。そのためにも、まずはスポーツ分野での交流を積極的に進めるべきと考えますが、現在、どの程度検討が進められているのかお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 20 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 21 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  アジア・オセアニア地域とのラグビー交流フェスタの開催についてお尋ねがございました。本県では、平成三十年からアジアラグビー交流フェスタの開催に取り組んでおります。これは、ラグビーワールドカップ日本大会の開催のレガシーといたしまして、アジア地域におけるラグビーの普及、発展とジュニア選手の交流、育成を図ることを目的として、国内外の中学生チームの交流試合や文化体験などを実施しているものでございます。このフェスタにオセアニア地域のジュニア選手が参加いたしますことで、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、サモアなどラグビー強豪国の選手と対戦できますことから、ジュニア選手の競技力の向上が期待できます。また、東京二〇二〇オリンピックの事前キャンプをはじめ、交流を進めてまいりましたオセアニア地域と、新たな若い世代における交流の機会を生み出すことができます。このような効果が期待できますことから、対象地域をオセアニア地域に拡大することといたしたところでございます。来年一月の開催に向け、現在、本県のほか日本、九州及び福岡県の各ラグビー協会等から成る実行委員会を組織し、アジア・オセアニア地域の各ラグビー連盟に対し、参加チームの調整を要請しておりますとともに、県内中学生との交流事業を検討いたしますなど準備を進めているところでございます。  ニューサウスウェールズ州とのスポーツ交流についてでございます。今年六月、ニューサウスウェールズ州駐日代表のマイケル・ニューマン氏と、私は県庁でお会いをいたしました。エネルギー、観光、教育など様々な分野における今後の交流の方向性について意見交換を行いました。本来、八月には県議会の皆様と一緒にニューサウスウェールズ州政府を訪問し、スポーツをはじめとする交流について協議を行う予定でございましたが、私が新型コロナウイルス感染症対策本部長としての任務を果たすことが必要となりましたため、訪問を見送らざるを得ませんでした。しかし、その後、スポーツ分野では、ラグビーについてはジュニア世代の合同合宿などの実施を、水泳につきましては来年福岡市で開催されます世界水泳選手権の観戦に、ニューサウスウェールズ州のジュニア選手やコーチが来日いたします際に、本県の選手やコーチとの交流を実施する。また、野球につきましては、それぞれの地域で開催をいたしますジュニア世代の大会に相互にチームを派遣をする。こういった具体的な協議を進めてきたところでございます。今後、スポーツ分野で生まれました人的ネットワークを活用し、本県とニューサウスウェールズ州政府との間におきまして、観光、教育、さらにはエネルギーといった様々な分野に交流を広げていきたいと考えているところでございます。 22 ◯議長(桐明 和久君) 中嶋玲子君。(拍手) *中嶋議員質問 23 ◯十二番(中嶋 玲子君)登壇 民主県政クラブ県議団の中嶋玲子でございます。今回は、こども基本法とこども家庭庁に対する本県の考えと対応について質問をいたします。  皆様御存じのとおり、こども基本法が三か月前の六月十五日の国会で可決、成立し、二〇二三年四月一日から施行の予定であります。この法律は、子供政策を総合的に推進することを目的として制定をされた法律です。日本には、これまで一九九四年に批准した児童の権利に関する条約で定めた、子供の基本的人権が守られるべきと明記した法律が約三十年間近くありませんでした。そんな中で、子供の人権が尊重されるとしたこの法律の制定は大きな意味があると思います。また、昨今、少子化が進み、子供が減少している上に、いじめや子供の自殺、不登校、児童虐待の急増など、子供を取り巻く様々な問題が顕在化している日本社会において、総合的な子供政策は非常に重要なことであり、画期的なことだと考えます。  ところで、この法律では、国が定めるこども大綱を勘案して、都道府県における子供政策についての計画、つまり都道府県こども計画を定める努力義務が課せられています。この計画は、子供政策に関する事項を定めるものと一体として作成することができるとされています。  そこで、まず一点目の質問です。こども基本法制定に対する知事の認識と、都道府県こども計画の策定についてどのようにお考えかお尋ねいたします。  また、国会でこの法律と同日付で可決されたこども家庭庁設置法の成立を受け、こども家庭庁が設置されることとなりました。今年の六月には、内閣官房こども家庭庁設立準備室が設置され、二〇二三年四月にこども家庭庁が発足します。国が子供を真ん中に据えた社会をうたい、切れ目のない政策を打ち出したことで、本県としても今後の子供政策を総合的に進めることになりますが、その体制整備や所管についても大きな転換を迫られることになると思われますので、以下、知事に三点質問いたします。  こども家庭庁に関しては、その名称や内容について国会でも議論されてきました。まず、こども基本法では、子供の養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下というふうにされています。もちろんそのとおりであると思います。ただ、今般、子供の貧困や子供への虐待、我が子殺しなど、必ずしも親や家庭が子供にとって安心して暮らせ、安住できる居場所ではなかったり、子を慈しむ環境にない親や家庭もあります。はたまた親や家族からの虐待を受け、家庭で安全に生活できない子供たちも存在するなど、多様化する家庭の実態があります。また、核家族や一人親家庭での子育ての大変さに対しても社会の支援が不可欠です。最近では、親による育児放棄や、あどけない乳幼児を車の中に置き去りにするなどの問題の多発、また育児や家庭教育に対する経験不足から不安を感じる親なども多いとも言われています。  そのように様々な家族形態や多様化する家庭の実態など、現代社会の子供を取り巻く環境の変化は、明らかに従前の価値観と大きく乖離してきていると思われます。もはや子供は、家庭を基本単位として育つものという既成概念で捉えることなく、社会全体で守り、支援していくことで、心豊かに成長できる環境を整備することが求められていると思います。これからの時代、家庭の在り方の違いで不利益や差別がないよう、全ての子供たちにとって最善の子育ちを保障していくことに視点を置くことが不可欠だと思います。  そんな理由から、このこども家庭庁の名称について、私は、個人的には子供を真ん中にした子供庁としてスタートするのが望ましいと考えますが、国会での議論がなされた結果は、やはりこども家庭庁との名称になったようでございます。本県でも、子供の痛ましい事件や生命を軽んじた行為、そして子供の孤立など、子供受難の出来事が発生しています。子供は親の所有物ではないことを、大人が自覚することが重要です。ぜひとも福岡県の総合的子供政策には、子供の権利条約に明記されているように、子供がいかなる家庭環境に生まれたとしても、全ての子供は命が守られるという生きる権利、医療、教育、生活の支援を受けて育つ権利、暴力や搾取、有害な労働から守られる権利、子供が自分の意思を伝え、意見を述べ参加する権利など、一人の人格として子供の人権が尊重されるような視点を大切にして、福岡県版子供政策を制度設計していただきたいというふうに思います。
     そこで二点目の質問です。こども家庭庁創設に対する知事の見解と本県の考え方をお尋ねします。  さて、こども家庭庁は、設置決定の国会議決から施行まで十か月足らずというタイトなスケジュールでスタートすることになります。総合的な子供政策という大がかりな政策転換にしては実に拙速であり、各自治体にとっては、十分な検討期間もない中でのスタートになると思われます。約半年しかない準備期間で体制整備は間に合うのでしょうか。それとも、取りあえずスタートして走りながら考えることになるのか、大変憂慮されます。  そこで知事に三点目の質問です。こども家庭庁ができることで、本県の子供政策に具体的にどのようなメリットや課題があると知事は考えられていますか。  次に、現在は、妊娠、出産から産後ケア等の周産期医療や母子保健、未就園児や保育所、幼稚園等の乳幼児期、いじめや不登校、放課後児童クラブや学習支援等の子供の居場所づくりなど学齢期の課題に対する対応、児童手当をはじめとする児童福祉、医療、困難な状況にある子供支援やケアなど多岐にわたる子供関連施策は、これまでそれぞれが関連しながら、多数の部署が所管して行政サービスを提供してきたわけであります。国は、それを今後、こども家庭庁として一つにまとめて、内閣総理大臣、こども政策担当大臣、こども家庭庁長官をリーダーにして、総合的な子供政策を推進するということです。当然、自治体もそれに準じて体制整備をし、行政の横串を通して子供政策を進めていくことになるわけです。しかし、なぜか幼稚園や学校教育などの文部科学省所管は、このたびの総合的子供政策からは除かれるということです。いずれにしろ、国から、さあ法律ができましたよ、都道府県で、そして基礎自治体でも法律に基づいて四月からやりなさいでは、子供の実態や問題に日頃から対応し、実際の現場を抱える地方行政にとっては、突然、無理難題を押しつけられるものとしか思えません。  国は、このこども家庭庁について、従来の制度や組織など行政の縦割りの隙間に陥っていた問題に横断的に取り組み、年齢や制度の壁を克服した切れ目のない包括的な支援として、結婚から妊娠、乳幼児期、学齢期から十八歳までを対象としています。先ほども申し上げましたが、妊産婦の産後ケアや未就園児の子育て支援、母子保健、いじめ、不登校、子供の居場所、サードプレイスづくりなど、困難な状況にある子供支援などと、所管は実に広範にわたっているところであり、短時間での新しい体制づくりは大変だと思うところであります。あまりにも大がかりな体制整備であることで、子供たちにとって重要なことが見落とされたり、抜け落ちたりすれば本末転倒になってしまいます。本県では、この総合的子供支援については、当然知事のリーダーシップの下で取り組むわけですが、私は、新しい部署として子供局なるものをつくるべきと考えます。  そこで、最後に四点目の質問です。総合的な子供政策は、どこの部署が所管することになるのですか。それとも、本県では本年度から市町村振興局をつくられたように、新たに子供局みたいなものを新設されるのか、そういう組織の検討が必要だと思われますが、本県の子供政策に横串を通すための体制づくりはどうお考えなのかお尋ねします。併せて、今後のスケジュールについてもお尋ねします。  国の方針として子供政策が重点的に取り組まれていくことになり、財源も確保していくということです。本格的に子供、子育てに重きが置かれていくことになります。本県の子供政策の充実に期待をして、知事のお答えを期待しながら、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 25 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  こども基本法の制定についての認識と都道府県こども計画の策定についてでございます。こども基本法は、児童の権利に関する条約の精神にのっとりまして、子供の個人としての尊重、子供の適切な養育、教育の権利、子供の意見表明の機会の確保、子供の最善の利益の考慮などが基本理念として明記をされております。全ての子供が将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指した意義のある法律であると考えております。県では、これらの基本理念を具体化いたしますため、こども基本法に基づく県こども計画を策定することとなります。来年度、国は、こども大綱を策定いたします。これを踏まえまして、子供、若者の健やかな育成、少子化対策、子供の貧困対策など、これまで取り組んでまいりました子供関係施策を総合的かつ一体的に捉え、次代を担う人材の育成に向け、県のこども計画を策定してまいりたいと考えております。  次に、こども家庭庁創設に対する見解についてお尋ねがございました。県では、一昨年来、全国知事会を通じまして、子供関連政策を一元的に担う新たな組織の創設を国に要望してまいりました。来年度からは、こども家庭庁が創設されますことによりまして、国の府や省をまたぐ施策が一元化され、年齢や制度の壁を越えた切れ目ない包括的支援や、子供と家庭の視点に立った政策が前進していくものと期待をいたしております。県といたしましても、県民の皆様が子供を安心して産み育てることができ、子供が個人として尊重され、健やかに育つ社会を実現いたしますため、子供を真ん中に置いて総合的かつ一体的な対策を進めてまいります。  本県の子供政策へのメリットと課題についてお尋ねがございました。国は、来年度のこども家庭庁創設に伴いまして、母子保健と児童福祉の一体的提供、十八歳以降への支援の継続など、既存制度の再構築に加え、子供の居場所づくりや、幼稚園や保育所に通っていない子の育ちの保障など、これまで十分ではございませんでした政策の実施を打ち出し、これらを全て、今後市町村に設置されますこども家庭センターを窓口として展開するとしております。併せまして、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協の調整機関の役割をこのセンターが担うこととなります。このため、今後は、このこども家庭センターが子供、家庭支援の総合的、一体的拠点となり、全ての子供が誰一人取り残されることなく、妊娠期から学齢期以降に至るまで切れ目のない支援が一つの窓口で実現することが期待できます。県といたしましては、全ての市町村にセンターが設置されますよう、体制の整備と運営に対する助言及び支援を行ってまいります。一方で、自治体が子供政策を進めていく上での財源の裏づけが明確でないこと、文科省所管のいじめ対策や幼児教育などの子供施策とどのように連携を図っていくかなどが課題として挙げられるところでございます。  子供政策に横串を通す県の体制についてお尋ねがございました。こども基本法の基本理念にのっとり、国や市町村との連携を図りつつ、子供を安心して産み育てることができ、子供が個人として尊重され、健やかに育つ、そんな福岡県を実現するためには、県としてどのような体制が望ましいのか。また、その体制によって生じる課題はないのか。もしあるとすれば、どのようなものがあり、どう対応していくのか等につきまして、こども家庭庁の発足に向けて検討を重ねてまいります。 26 ◯議長(桐明 和久君) 松下正治君。(拍手) *松下議員質問 27 ◯三十四番(松下 正治君)登壇 皆様、こんにちは。公明党の松下正治です。  質問に入ります前に、東西冷戦の終結に寄与し、ノーベル平和賞を受賞されたミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領がこのたび御逝去されたことに心から哀悼の意を表します。  ゴルバチョフ元ソ連大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻に衝撃を受け、両国の関係悪化に心を痛めていたと伝えられていますが、今年の二月二十四日から始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻は、半年を経過した今も続いています。本県議会では、侵攻が始まってすぐに、ロシア軍による攻撃とウクライナの主権侵害に強く抗議するとともに、ロシア政府に対し、武力行使の即時停止と、ウクライナ領土から直ちに全ての軍隊を完全に撤退させること、及び誠実に国際法を遵守し、平和的に対応することを強く求めるとの決議を採択したところであります。  まず、服部県知事にお伺いします。本県議会において強く抗議したロシアによる軍事侵攻が今もって続いていることに対して、知事の率直な思いをお聞かせください。  今年は、さきの大戦終結から七十七年目を迎えましたが、依然、世界における地域紛争が絶えず、ロシアのウクライナ侵攻は終わりを見ない状況にあり、先月、ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、最終日においてロシアが最終文書案に反対し、決裂して閉幕したところであります。このことに関して、世界的な平和学者であるケビン・クレメンツ氏は、大切なのは、今回のNPT再検討会議の結果に落胆しないこと、世界各地の市民社会による支えなしには、核禁条約は発効を見ることはありませんでしたし、今後、その役割を果たすこともできないでしょうと語っています。このような世界情勢であるからこそ、今こそ本県において、県民一人一人に平和の尊さを訴える活動、平和の心を育む活動を積極的に行っていく必要があるのではないかと思われます。  そこで、私からは、本県における平和に向けた取組について、平和文化事業の推進、外国人の人権擁護、民間の国際交流支援の大きく三つにわたりお尋ねしたいと思います。  まず、平和文化事業の推進についてお伺いします。本県が行う平和文化事業については、今後のさらなる推進を望みますが、本事業の実績についてお聞きします。平和文化事業の一環として実施している、県が保有する戦時資料の貸出し状況、そして戦時資料展の開催状況、開催箇所や入場者数等、さらに県のホームページ、平和文化コーナーの閲覧状況はそれぞれ現在どうなっているのか知事にお伺いします。  今年四月、北九州市小倉北区の勝山公園内に北九州市平和のまちミュージアムがオープンしました。私は、先月上旬、同ミュージアムを見学しました。以前、県の戦時資料展を訪れた際に、戦時中の各新聞社の戦争を肯定する報道紙面を閲覧でき、当時の日本国内の世論が戦争一色に染まっていた様子が如実にうかがわれて衝撃を受けましたが、今回、北九州市のミュージアムの展示を見ていく中で、県のこうした貴重な資料を併せて情報提供できれば、当時の時代背景への理解が一層深まり、よりよい展示になると感じました。さらに、同ミュージアムでは、長崎市に投下された原子爆弾の第一目標が小倉の地であったことが詳細に紹介されていましたが、この原爆の恐ろしさについては、県のホームページ、平和文化コーナーにある戦争体験記に生々しく記載されています。このような貴重な声もぜひ同ミュージアムで紹介すれば、見る者にとってより強く印象に残る展示になるものと思われます。  そこで知事に質問します。昨年、我が会派の代表質問にて、知事は、北九州市の平和資料館が設置された際には、県として連携した取組ができるよう協議を進めるとの答弁をされましたが、現在どのような状況になっているのでしょうか。平和文化事業について、今後、本県と北九州市との連携をさらに進めていっていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、吉田教育長にお伺いします。昨年の代表質問で、当時の城戸教育長から、北九州市に設置される平和資料館は、子供たちが戦争を架空の出来事として受け止めることなく、より実感を伴う体験的な学習ができる学びの場として価値ある施設となることが期待されます。平和資料館が設置されました際には、各学校に対して施設の紹介を行い、活用を促してまいりたいと考えておりますとの答弁をいただいております。実際に私は見学してみて、北九州市平和のまちミュージアムは、戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える優れた施設であると実感しました。ぜひ北九州市内の子供たちだけでなく、より多くの子供たちに訪れてほしいと願います。  そこで教育長にお尋ねします。本県の各小中学校に対する同施設の活用促進について、教育長の御所見をお聞かせください。  次に、外国人の人権擁護についてお伺いします。冒頭に触れましたロシアのウクライナ侵攻により、戦禍を逃れ来福しているウクライナ人や、ウクライナと本国が敵対関係にあるロシア人、ロシアに近いベラルーシ人等が、本県において差別に遭ったり不当な扱いを受けたりしていないかが懸念されます。  そこで知事にお伺いします。本県に避難されているウクライナの方は、現在何人に上るのでしょうか。また、避難されている方への差別等の相談があった場合、県はどのように対応しているのかお尋ねいたします。  さらには、様々な国際情勢の影響を受ける中で、本県在住の外国籍の方の人権が侵害されるようなことが絶対にあってはならないと考えます。そのようなことがないよう、人道的な立場から、県としてしっかりとした対応が求められます。  そこで、実際に本県ではどのような施策が講じられているのか、知事にお尋ねします。  最後に、民間の国際交流支援についてお伺いします。先日、日中韓児童友好絵画展が、私の地元である北九州市八幡西区のコムシティで開催されました。これは、日本のNPO法人、上海市人民対外友好協会、釜山国際交流財団が主催し、本県や本県教育委員会、本県議会の日中友好議員連盟、日韓友好議員連盟等、数多くの団体が後援していました。この絵画展は、日本、中国、韓国の三か国の子供たちが、言葉は通じなくても、絵画という共有の文化の交流を通して、相互理解と教育文化事業の促進を図り、世界平和への夢を育むことを目的とする取組であり、今年で十回目の節目を迎えます。今月二十五日までは大牟田市石炭産業科学館で行われる予定と聞いております。ぜひ多くの皆様に御観覧いただければと思います。今の混迷を深める世界情勢の下にあって、このような取組は希望ある未来を築くことに大いに寄与するものと考えます。平和な国際社会を築いていくには、こうした地方における草の根レベルでの地道な友好交流は欠かせないと思います。  そこで、以下、知事に質問します。このような民間団体による諸外国との友好交流は、ほかにも様々な形で行われていると思いますが、本県において、民間団体が主催し、県が後援している国際交流のイベントはほかにどのようなものがどのくらいあるのでしょうか。  また、こうした取組を推進するために、イベント情報等を積極的に発信する必要があると考えますが、県として現在どのような支援を行っているのか。また、今後の県の支援について、このようなイベントに対する知事の御所見も併せてお尋ねします。  以上、本県が平和な社会の建設促進に向け、大いに貢献していくことを切に願い、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 28 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 29 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  ロシアによる軍事侵攻が続いていることについてでございます。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を脅かすものでありまして、決して許されない暴挙でございます。軍事侵攻が開始されてから約七か月が経過いたしました。しかし、今もなお戦闘の終結への道筋は見えておりません。多くの方がお亡くなりになり、傷つかれ、またウクライナから国外への避難を余儀なくされている方も多く、大変心を痛めております。戦争は、最大の人権侵害であります。一日も早い、この戦争の終結を望みます。  平和文化事業の実績についてお尋ねがございました。本県では、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えていきますため、戦時資料等の収集を行っておりまして、この資料は、市町村などが開催いたします平和展でも展示していただけますよう貸出しを行っております。令和元年度の貸出し実績は六件、コロナ禍でございました二年度は四件、昨年度は二件となっております。今年度は、イベントの開催要件が緩和されたこともございまして、八月末現在で五件の貸出しを行っております。また、毎年、県内二か所で開催しております福岡県戦時資料展は、昨年度は約千九百人の方に御来場いただきました。そして、今年度は、アクロス福岡とえーるピア久留米で開催をいたしまして、約二千四百人の方に御来場をいただきました。この戦時資料展は、毎年工夫を凝らしながら実施しておりまして、今年度は、県が保有しております資料に加えまして、鹿児島県の知覧特攻平和会館から、特攻隊員の方の写真や遺書をお借りして展示をいたしました。また、県のホームページに開設しております平和文化コーナーには、県の戦時資料展の内容をはじめ、県が保有いたしております戦時資料や、戦後五十周年の節目に募集し、寄せられた戦争体験記などを掲載しておりまして、令和元年度に開設して以降、閲覧者は年々増加をし、昨年度は約四千人の方に御覧をいただいたところでございます。  次に、北九州の平和のまちミュージアムとの連携についてでございます。当該ミュージアムは、今年四月に、戦争の悲惨さや平和の大切さ、命の貴さを考えるきっかけづくりを目的といたしまして、北九州市が開設いたしました体験型施設でございます。県が毎年実施しております戦時資料展などの平和文化事業と当該ミュージアムとの連携は、効果的な啓発につながると考えられます。このため、七月に職員を派遣し、連携についての協議を行いました。今年度は、まずは本県の戦時資料展の会場と当該ミュージアムとで相互にパンフレットを設置をしたところでございます。県では、これまでも筑前町が設置をいたしております大刀洗平和記念館と共催で県の戦時資料展を実施し、同館が所蔵しております戦時資料を展示するなど、連携した取組を進めてまいりました。今後、大刀洗平和記念館と同様に、平和のまちミュージアムとの連携をさらに進められるよう協議を行ってまいります。  次に、ウクライナからの避難民の方の相談対応についてでございます。九月二十日現在、本県には百十八人の避難民の方がいらっしゃいます。このうち五十人は、県内に親族や知人がいらっしゃる方及び国からの依頼で受け入れた方であり、六十八人は、日本経済大学の留学生でございます。県では、ウクライナからの避難民に関する相談に対応いたしますため、福岡県外国人相談センターに、四月から、福岡に在住していらっしゃるウクライナの方を一名配置をいたしました。センターには、住宅・生活支援、教育、在留資格などに関する相談が寄せられておりまして、避難民の方に寄り添った丁寧な対応を行っているところでございます。また、避難民の方の人権相談につきましては、福岡法務局人権擁護部や福岡県弁護士会と連携をいたしまして、適切に対応できますよう体制を整えているところでございます。  外国人の人権に関する施策についてお尋ねがございました。県では、平成二十八年のヘイトスピーチ解消法の施行後、県、両政令市、法務局などで構成いたしますヘイトスピーチ対策連絡会議を設置をし、この連絡会議で啓発動画、チラシ、ポスターを作成、広報いたしますことで、外国人の人権啓発に取り組んでおります。今年四月、北九州市におきまして、ロシアや中国など特定の国籍の方に対する差別落書きが発見されました。これを受けまして、直ちに連絡会議を開催し、構成員がおのおの啓発に取り組むことを申し合わせました。県は、連絡会議で作成いたしました啓発動画を県内四地域の映画館で放映し、ユーチューブ等SNSでも配信をしているところでございます。加えまして、連絡会議で作成したチラシをコンビニエンスストアに配架をいたしております。このほか、県独自にホームページにおきまして、軍事侵攻への抗議と差別、偏見は違うということ、特定の国籍の人や民族に対しての差別や偏見、誹謗中傷はやめるよう呼びかけております。また、両政令市は、啓発動画をJR小倉駅や天神の街頭ビジョン、北九州市のサッカー場の大型ビジョンで放映し、ポスターをそれぞれの庁舎に掲示をいたしました。法務局におきましては、啓発ポスターをJR博多駅などのデジタルサイネージで掲示をしたほか、来月からは、北九州市内の路線バスで車内広告を実施することといたしております。今後も、引き続きヘイトスピーチ対策連絡会議におきまして、関係機関としっかり連携を図りながら啓発に取り組んでまいります。  民間団体主催の国際交流イベントについてでございます。県で後援をいたしておりますイベントには、各国の食や文化を紹介いたしますフェスティバルや、子供たちの絵画や書道のコンクールなどがございます。平成三十年度は十七件、令和元年度は十六件のイベントを後援しておりましたが、コロナ禍にございました令和二年度と三年度は十件程度でございました。今年度は、九月二十日時点で八件の後援名義使用の申請を受けているところでございます。  民間団体主催の国際交流イベントへの支援についてでございます。民間レベルの草の根交流は、国と国との友好関係、信頼関係の礎になるものと考えておりまして、大変重要なものであると認識をいたしております。県が後援いたしますイベントにつきましては、主催者からの依頼に応じ、県ホームページへの開催情報の掲載をはじめ、知事祝辞の提供や県知事賞の交付などの支援を行っております。今後もこのような支援によりまして、草の根の国際交流活動を後押ししてまいりたいと考えております。 30 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 31 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 北九州市平和のまちミュージアムの活用促進についてでございます。北九州市平和のまちミュージアムは、最新の映像、音響技術を駆使し、空襲の追体験ができる三百六十度シアターなど、子供たちにも分かりやすく工夫された展示がなされております。教科書で学んだ内容をより実感を持って理解し、学習の質を高めるため、このような体験型施設の利用は効果的であると考えます。今後、北九州市からの協力を得ながら、当該施設に関する情報を県内の市町村教育委員会へ周知をいたしてまいります。 32 ◯議長(桐明 和久君) 渡辺勝将君。(拍手) *渡辺(勝)議員質問 33 ◯二十番(渡辺 勝将君)登壇 自民党県議団の渡辺勝将です。通告に従い、県立工業高校における次代の工業人材育成について質問をいたします。           〔桐明議長退席 井上副議長着席〕  物づくりは、日本が世界に誇る産業であります。福岡県においても、知事は、次代を担う人材の育成を第一に掲げ、その施策として産業人材の育成に取り組んでいます。我が国では、義務教育を終えた後、物づくりの専門的な教育の第一歩となる教育機関の一つが工業高校であります。私も工業高校の出身でありまして、高校では、物づくり技術とともに大切なことをたくさん学びました。現在、福岡県には県立工業高校が九校あり、工業に関する学科を置く県立高校が四校、計十三校が県内の全域に配置されています。地域産業の基盤を担う県立工業高校における物づくり人材の育成について、以下、教育長に三点お尋ねいたします。  まず初めに、県立工業高校では、どのような人材の育成を目指しているのかお聞かせください。  次に、工業高校生の進学についてお尋ねします。近年、若者の物づくり離れが叫ばれています。私は、日本を支えてきた物づくりの文化は決して絶やしてはいけないと強く感じております。そのような中、県立工業高校では、各地域において物づくり教室などを開催しており、地域の小中学生にとって物づくりに触れる貴重な機会となっています。子供たちが物づくりを体験するこのような機会は、今後さらに積極的に行っていく必要があると考えています。  さて、このような体験を経て、物づくりに興味を持った子供たちが工業高校にも多く入学しています。現在、工業高校卒業後の進路は、就職を選ぶ生徒が多く、進学を選ぶ生徒はおよそ二割と聞いています。昨今の社会情勢や科学技術の進展を踏まえると、私は、工業高校生の進路について、これまでの認識にとらわれず、より深く専門的な学びを深めるために、工業系大学などを目指す進学希望者への対応を充実させることも必要になるのではと考えております。私の母校である福岡工業高校の機械工学科には、進学希望の生徒に対応する工業進学コースが設置されております。他の学科においても四年制大学などへの進学を希望して入学する生徒も多く、学校全体ではおよそ四割の生徒が進学しているという特徴的な実績があります。  そこで教育長にお尋ねします。県立工業高校の中で、進学者が特に多い福岡工業高校における進学希望者への対応について、教育長の見解と今後の取組の方向性についてお尋ねいたします。  最後に、先端産業人材の育成に向けた工業高校の取組についてお尋ねいたします。福岡県では、本年二月、福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会が発足し、グリーンデバイス関連企業の誘致や人材の集積が進んでいます。また、福岡県には、半導体人材を育成する企業の研究開発を支える公的支援機関や、大学、高等専門学校などの教育機関が集積しており、九州でも人材育成に適した環境にあります。このような中、県立工業高校でも半導体人材育成の役割が大いに期待されるところですが、半導体のような先端産業では、幅広い知識と様々な工業分野に関する技術、技能が必要になると考えます。  そこで教育長にお尋ねします。これら先端産業人材の育成に向けて、各県立工業高校において取組が進められる中で、例えば最も学科数が多い福岡工業高校では、より先進的な取組もできるのではないかと考えますが、県立工業高校における現在の取組と今後の方向性について教育長にお伺いします。  今後とも、県立工業高校が福岡県の産業を支える人材を輩出し、福岡県の発展に寄与していくことを願って質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 *教育長答弁 35 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立工業高校が目指す人材育成についてでございます。県立工業高校においては、工業の基礎、基本となる知識と技術を身につけ、即戦力として県内の地域産業の発展を支える人材を育成してまいりました。このことを基本としながら、本県が将来の発展につながる新たな成長産業の振興を図っていることを踏まえて、高度な技術や物づくり技能を身につけ、それらの産業に対応できる人材の育成に取り組んでまいります。  福岡工業高校における進学希望者への対応についてでございます。AIやIoTの進展により、産業界が求める能力が高度化していることに加え、入試制度や奨学金制度など、大学等への進学を取り巻く状況の変化を受けて、より高度な知識、技術を求める工業高校生の進学ニーズが高まる傾向にございます。福岡工業高校では、地域産業の即戦力人材を育成する職業教育の充実と併せ、工業系大学や高専への進学に対応した教育を実践し、高い進学実績を上げており、これは同校の大きな特色であると考えております。今後、大学等の様々な専攻分野に進学を希望する生徒のニーズに対応できますよう、教育課程等の工夫、改善を図り、同校のさらなる魅力化に取り組んでまいります。  先端産業人材育成に向けた取組についてでございます。県立工業高校においては、本年度から、県立工業高校半導体人材育成事業を実施し、半導体に関連する学科を中心に、実習環境の整備、県内の関連企業への訪問、インターンシップの実施などを通して、企業が求めるエンジニアやオペレーターとして必要な知識、技能の育成に取り組んでおります。こうした取組をより強化をいたしますために、多くの学科を置く福岡工業高校が率先して、ハード、ソフト両面を横断的に学べる教育課程の工夫や、大学、関連企業との連携、共同研究などに積極的に取り組むことが重要と考えております。今後、県立工業高校においては、半導体産業をはじめとする多くの産業において技術の高度化が進むことを踏まえ、分野横断的な知識、技能や協働する力を育む教育内容の充実を図ってまいります。 36 ◯副議長(井上 博隆君) 笠和彦君。(拍手) *笠議員質問 37 ◯十六番(笠 和彦君)登壇 自民党県議団、笠和彦です。通告に従い、県産農産物の消費拡大の取組について質問させていただきます。  福岡市は、五百十万人の人口を誇る福岡県の中でも、百六十万人の人口を有する九州最大の都市であります。本日は、大消費地である福岡市民として、福岡県の農業を応援するため質問させていただきます。福岡県の農業は、温暖で適度な雨量に恵まれた気象条件の下、筑後川、遠賀川、矢部川をはじめとする河川沿いに広がる平野から、筑肥山地、耳納山地などの山間地域まで、様々な地形の中で多様な形態で営まれており、農業産出額は約二千億円と、知事が日頃からおっしゃるとおり、農業は福岡県の基幹産業であります。こうした福岡県での農業を発展させていくため、県では稼げる農林水産業の実現を目指し、消費者ニーズに対応した生産力やブランド力の強化、次代を担う人財の育成、ワンヘルスの推進などを柱とする新たな農林水産振興基本計画を本年度策定し、各種の取組を進められております。しかし、現在、世界では開発途上国を中心に、様々なリスクを理由に将来の食料供給に対する不安が広がっています。  今月十二日、国連のWFP(世界食糧計画)のフライシャー局長は、NHKのインタビューで、ロシアによる軍事侵攻により、ウクライナの農地や農業インフラが破壊されている上、農業が盛んな東部が戦いの前線となっていて、農家の方も兵士となって戦闘に加わっていると述べ、ウクライナでは農作業が例年どおり進められない事態に陥っていると指摘しました。また、世界の肥料の多くを生産していたロシアからの輸出が滞り、肥料の価格が高騰していることで、農家がこれまでのようには肥料を買えなくなり、農産物の生産量が落ち込むおそれもあると指摘しました。さらに、パキスタンの洪水や、中国やヨーロッパでの干ばつといった異常気象も、今後の世界の食料供給にマイナスの影響を与える可能性にも言及されました。フライシャー局長は、今年は農産物の価格上昇で食料を買えないことが問題だったが、来年は世界の人口を養うために十分な食べ物がない状況に陥る可能性があると述べ、来年G7の議長国となる日本に対し、食料危機をG7の主要な議題に据えるべきだとして、先進国の支援の必要性を強調しました。  こうした様々なリスクを背景に、農林水産省は、今年二月に食料安全保障に関する省内検討チームを立ち上げ、将来にわたって我が国の食料安全保障を確立するために必要となる施策の検討に着手しているということです。先日の我が会派の代表質問でも、我が国の食料安全保障の脆弱性についてただしましたが、食料の安全保障を強化していくためには、輸入と備蓄を組み合わせながら、国内の農業生産を拡大していくことが重要であり、今回の価格高騰は、我々国民に過度な輸入からの脱却を図っていくことの大切さを改めて気づかせてくれました。  我々が新鮮でおいしい農産物を頂けるのも、まさに福岡県内の農業者の方々が日々努力を重ね、私たちの食を支えていただいているおかげです。そのことを忘れることなく、価格高騰により大変苦労されている農業者の皆さんを支えていかなければならないと思います。私は、多くの県民の皆さんに、福岡県の農業への理解を深めていただくとともに、率先して県産農産物を購入していただくことが、福岡県の農業の発展につながるものと考えております。  そこで知事にお尋ねいたします。県産農産物の消費拡大に向け、県民支持の拡大や農産物のPRが重要だと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。 38 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 39 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  県産農産物の消費拡大の取組についてお尋ねがございました。県民に県産農産物を支持していただき、選んでいただき、消費の拡大を進めていくためには、農業や農村に対する理解を深めていただきますとともに、本県には優れた農産物が数多くあるということを知っていただくことが重要でございます。このため県では、学校や家庭における食育の推進や、農産物のPRによる認知度の向上に取り組んでいるところでございます。食育につきましては、子供の頃から食というものの大切さを学んでもらうため、小中学生を対象といたしまして、柿の皮むき体験や、野菜ソムリエによる栄養やおいしさ、生産者の思いや苦労を伝える出前講座を学校において実施をいたしております。また、農林水産業の応援ファミリーを対象といたしまして、家族で食を学べますよう、野菜の収穫やみそ造りなどの体験や、生産者の皆さんと交流する現地ツアーを実施をいたしております。  県産農産物の認知度向上につきましては、大型商業施設におきまして、県育成品種でございます温州ミカンの早味かんや、柿の秋王などのPRを行いますとともに、県産食材を利用する応援の店での来店ポイントキャンペーンや、ホテルのレストランなどでの福岡フェアを実施しているところでございます。加えまして、今年十一月には、福岡市の地行中央公園におきまして福岡県農林水産まつりを、隣接いたしますヒルトン福岡シーホークで開催されますFAVA大会と同時開催をいたしまして、農業、農村への理解や農産物のワンヘルス認証制度についての理解を深めていただきますとともに、県産農産物の販売、PRを行うことといたしております。県といたしましては、今後ともこうした取組を通じ、県産農産物の消費の拡大を推進してまいります。 40 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時  十五分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...